関が原の合戦の裏ではこれだけの物語があった!裏関ケ原 吉川永青/著

吉川永青の小説です。吉川得意の三国志ではなく、戦国後半の有名な合戦を題材にしています。

実際には、関ヶ原の合戦には参加していない戦国武将達6名の物語です。

関ヶ原の合戦当時の状況を簡単に書いていくと、大体次のようになっています。

  • 黒田如水は九州で合戦中です。
  • 佐竹義宣、最上義光は上杉景勝包囲網の一角を担っています。
  • 細川幽斎は西軍の部隊を引寄せ篭城し、東軍への貢献があったようです。
  • 真田昌幸は、ご存知のように、家康の息子秀忠を翻弄し、関ヶ原に間に合わないようにしましたね。
  • 織田秀信(信長の嫡孫、幼名は吉法師)は岐阜城を守り、東軍に攻められ陥落して囚われの身となっています。

日本人で、関ヶ原の決戦を知らない人は、ごく少数派だと思います。

この決戦は、全国の武将を徳川家康派、石田三成派に真っ二つにして、戦いの行われた稀有の合戦です。しかも、双方8万近くの人員を動員したのにもかかわらず、たった1日で勝敗が決した合戦でした。

現代の人はどちらが勝つか知っていますが、当時の武将たちは、どちらにつくか悶々として決心がつかず、義理やらなんやらで一方に味方して結果オーライだった人、所領を奪われて愕然となった人それぞれですね。

あの時代ですから、負けた方の大将は皆、首を切られたり、浪人になって将来を見据えたりしました。

徳川家康は、この戦いで敵となった武将の所領を没収、減額して、自らを助けた武将に振り直し、天下掌握の礎を気づきました。その裏には、ここで描かれた6名の物語の他、関わった武将の物語があったわけです。

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今回の物語では、西軍と思われるのが、真田昌幸、織田秀信で、佐竹義宣、黒田如水、細川幽斎、最上義光が東軍と思われます。

そして、西軍に属した二名も、この戦の後で死罪にはなっていません。真田昌幸は、長男信行が徳川側で奮戦し、嘆願した結果、許されますが、息子信繁(幸村といった方が分かりやすいですね)と共に、九度山に流されます。

そして、織田信秀(信長の嫡孫)は、高野山に追放後、かの地で没しています。

佐竹義宣は、上杉を包囲していたものの、積極的には動かずにいたのを疑われたのか、秋田に転封となっています。

著者は、石田三成を非常に好意的に描いていて(著者の作品にも「治部の礎」があります)、佐竹義宣、織田秀信は、三成の無私の精神を見抜き、彼を助けるため西軍に味方します。

黒田如水は、最後に三成の考えを知り自分の老いを知り、望んでいた全てを捨て去るように描かれています。

彼ら、六名がどのように戦ったのかを知ることが出来ます。それぞれの作品、面白く読めますよ。

是非、ご一読を。