1.取材がすごい!
この本は、作家篠田節子のエッセイですね。

60爺は、ヘーッと思いました。小説家は、現場に実際行って、大変な思い(本人は楽しんでいるのかもしれませんが)をして、現場の空気を入れているんですね。
女性であるにもかかわらず(すみません^^;)、小説にリアリティを出すために、普通は行かないような所に飛び込んで、果敢に取材しているのがわかります。
「陽光きらめく一年中温暖な地中海」は、季節風吹き荒れる寒い冬と松の木さえ焼ける夏のせめぎ合い、木に実っているレモンは緑色で、街路樹にたわわに実っていたオレンジは、苦くてすっぱくて食べられない(本文から抜粋)そうです。
2.具体的な話がすごい
キプロスでは廃屋となった修道院を尋ね、インドでは現地の旅行会社の社長も行ったことのない部族の村へも出かけます。
特に、ボルネオのダナンバレーでのジャングルで四六時中活躍しているヒルの話は怖いです。糸より細くバッタのように俊敏な動きで、近くを通るものの体に飛び移ってくるそうです。
作家も言っていますが、ヒルってグニャグニャのナメクジ様の虫で、ジャングルで上から降ってくるっていうイメージでした。
ここでは、黒いの(ミスターブラック)と縞(ミスタータイガー)がいて、刺された客は、「ブラッドドナークラブ」の会員になれるそうです。
60爺は、絶対いやですね。か飛び跳ねてやってくる熱帯雨林リゾートなど。とにかく、すごいバイタリティです。
3.ゲテモノ食いの話がすごい
笑えたのは、夢枕獏氏、森本哲郎氏を迎えてのゲテモノ喰いに関する対談ですね。
エピローグはドリアンヨーカン、都市ガスそっくりのにおいと味だそうです。都市ガスの味って何じゃらほいと思いますが、トンでもなさそうですね。
大久保のエスニック食材店で売っていたそうで、しかも、日本語で書いてあるそうですので、興味のある方は食べてみてください。
とにかく、行った先は未開というか、とんでもない場所ばかりですので、食生活が全然違うわけです。
そんな中に飛び込んでの取材ですから、もう、すごいですよね。そういうところに行ける人なので、あまり食にこだわらないというか、平気な感覚というか、とにかく面白いです。
サハラのオアシスで出てくるコーヒーにはハエが浮いてるとか、ネパールのチャンと言うどぶろくは、おばあちゃんがこちでお米を噛んでペッペッとやって作るとか、50cmはあるねずみのスープとか、中国でミミズを食ったとか、とんでも話がたくさん出てくるので、是非、読んでみてください。
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4.最後に
さて、60爺が、読んだ篠田節子の初めて小説が「竜と流木」です。南洋リゾートに発生する謎の事件、明るい陽光のもと、繰り返される動物パニックでしたが、こういう色々な体験をベースに創作するのですね。感服しました。
このエッセイを読んだことを起点として、まず、このエッセイに出てきた篠田節子の小説(インコは戻ってきたか、インドクリスタル、ゴサインタン、弥勒、聖域)を読んでみようと思います。
現地に行って、そこの空気を肌で感じえた人の小説なら、面白くないわけがないと考えました。
楽しみです。