隠蔽捜査も7を数えました。大森署での竜崎伸也の活躍も今回が最後になりそうです。
「BOOK」データベースに、異動の噂を聞いて動揺するとの記載があります。
私鉄と銀行のシステムが次々にダウン。不審に思った竜崎はいち早く署員を向かわせるが、警視庁生安部長から横槍が入る。さらに、管内で殺人事件が発生。だが、伊丹から異動の噂があると聞かされた竜崎はこれまでになく動揺していた―。
今野敏の小説は全部そうなんですが、非常に面白いので、スラスラ読めてしまうのが長所であり、もっと楽しみたいのに、あっという間に読み切ってしまうところが大きな欠点ですよね。

60爺は、この小説、通勤の行き帰りと昼休みで読み切ってしまい、満足と共にちょっと残念な心持ちになりました。
大森署の面々は、もうどんなキャラか承知していますので、安心して物語の中へ入っていけます。
今回の事件では、上記のデータベースの内容にある通り、システムダウンが発生するので、それに強い新キャラクターが登場します。
この新キャラが、今まで出てきたキャラとちょっと違い、優秀でありながらひょうきんでもあり、物語にアクセントを加えています。
竜崎は、今までと同様に、何事も本音で物事に対処します。そして、建前や、縄張りを主張する上役たちと、いろいろな雑音を奏でるわけです。
その中で、ぶれることなく、まっすぐに立ち向かい、事件を解決していくのです。
こんなふうに、自分の主張を通して物事を解決していけたらいいなと思うのは、60爺だけではないと思います。それが、この小説の人気の素なのでしょう。
今回の竜崎は、異動の噂にたじろぎ、「大森署を動きたくないと思っている自分はダメな人間になった」と感じる箇所があります。こんな感覚を持つ竜崎は、とても面白いですね。
しかし、竜崎の妻である冴子から、「大森署があなたを成長させてくれたのよ」と指摘され、自分でも納得していくのです。
今回の小説では、異動がキーワードになっており、息子の邦彦にも動きが出ます。
相変わらず、刑事部長である伊丹との掛け合いも面白いし、生安部長からの横槍に対する竜崎の対処法も、いつもと同様ですが痛快です。
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方面本部長の弓削や、野間崎管理官もいつもの調子で出てきます。野間崎管理官は、弓削本部長と竜崎の間に挟まれてほんのちょっぴり気の毒になります。
最後には、感動のラストが待っています。
次回の隠蔽捜査は、新たな環境で始まります。今野敏が、どんな舞台を設定してくれるのか楽しみです。まさか、これにて終了なんてことはないですよね。
是非、ご一読を。