自由を奪われる苦痛、物事を強制される苦痛、読んでいて辛い!弥勒 篠田節子/著

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この小説は、初版1998年9月20日ですから、20年前に発表された小説です。

篠田節子の小説ですので冒険小説だとばかり思っていました。

題名の「弥勒」から、弥勒菩薩に関係して、未開の地から非常に価値ある弥勒菩薩の仏像あたりを日本に持ってきて、大儲けしようかなんて話かなと勝手に想像していました。

主人公の永岡が、インド、中国及びネパールに挟まれたパスキムという想像上の小さな国家(人口20万と設定)にある独特の仏教国家の素晴らしい芸術に魅せられ、その国の美術紹介を企て、自らの妻をも利用して開催にこぎつけようとしている所から物語はスタートします。

しかし、予想外の事態が発生し、美術紹介展は挫折してしまいます。永岡は、この事態を受け入れるしかありませんが、美しい仏像に引き込まれるようにパスキムに潜入していきます。

この展開ですので、主人公は、いろいろなピンチに巻き込まれるものの、僥倖的な協力者に恵まれ、何とか窮地を脱出しながら、手に汗握る冒険が行われるのかと想像しながら読み進めました。

ところが、そこで永岡を待ち受けていた運命はとんでもないものだったのです。現れるはずの協力者など全く登場せずに、永岡はとんでもない状況に巻き込まれ、信じられない生活を余儀なくされてしまいます。

amazonの内容紹介です!

ヒマラヤの小国・パスキムは、独自の仏教美術に彩られた美しい王国だ。新聞社社員・永岡英彰は、政変で国交を断絶したパスキムに単身で潜入を試みるが、そこで目にしたものは虐殺された僧侶たちの姿だった。そして永岡も革命軍に捕らわれ、想像を絶する生活が始まった。救いとは何かを問う渾身の超大作。

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以前読んだ小説の中では、「1984」につながるものがあります。

「1984」と同様、いつでも監視が付き、自由の全くない世界で、望まない生活を強制されます。

何の説明もなく、政変を起こした首謀者の考える狭い狭い世界に閉じ込められ、既存の技術や文化そして宗教までのすべて否定した上下のない理想社会?に放り込まれます。

拒否したものは、暴力と殺害にあってしまいます。

そして、一見、うまく進み始めたような状況も、大自然の中では全く無力だったのです。そして、既存の秩序が壊れた時、さらにとんでもない事態へと発展していきます。

全く救いのない状況で、永岡がもがいていく様が書かれていきます。「1984」と違い、永岡は殺害されませんが、・・・。読むのがちょっと苦痛でしたが、580ページの超大作です。

良ければ手に取って見て下さい。

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