静かな空間で語られる若手ピアノ調律師の成長の物語!羊と鋼の森 宮下奈都/著

60爺は、この表題を見て、最初は、冒険小説の類かと思いました(いつも冒険小説ですが・・・^^; )。

内容は、ピアノの調律師の物語ですね。

何の目標も持っていなかった少年が、高校生の時に、ピアノの調律師が、学校のピアノを調律して、その第一声を切った途端、その音に魅せられて調律師の道を志すところから始まります。

何かと話題の本で、2015年紀伊國屋書店による「キノベス!2016」第1位に選ばれました。

同年、『王様のブランチ』によるブランチブックアワード2015大賞も受賞し、第154回直木三十五賞の候補作にも選ばれています。そして、2016年、第13回本屋大賞で大賞に選ばれています。

2018年には、東宝配給で映画化され、公開されています。

以前、このカテゴリで上げた「蜜蜂と遠雷」恩田陸/著と同様に、音楽の世界を文字で語る小説です。

この小説は、「蜜蜂と遠雷」と異なり、全編に渡り、静かな感覚で物語が進行していきます。

内容紹介です。

ゆるされている。世界と調和している。それがどんなに素晴らしいことか。言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。ピアノの調律に魅せられた一人の青年。彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた長編小説。 ブックデータベース

この小説の世界は、時間が非常にゆっくりとやさしく流れている感じです。そして、人間関係が非常に濃密ですね。その中で、主人公の外村が、自分の才能と向き合い、少しずつですが、着実に前に進む姿が語られていきます。

登場してくる人物も、好人物が多いというか、皆、優しい人たちです。嫌な人間が全く出てきません。うーむ、人徳が違うのでしょうか?

羊と鋼の森 (文春文庫) [ 宮下 奈都 ]

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感想(33件)

ピアノの調律師という職業は、どの位の需要があるのでしょうか?

幸い、外村は、自分をこの世界に誘った調律師と同じ会社に就職し、その師と言うべき調律師の技を我が目で確認できる好位置にいます。さらに、素晴らしい先輩にも恵まれ、自分の力量を上げていきます。

しかし、なかなかうまく行かない場面も多く、調律したピアノの再調律されてしまう場面なんぞも出てきます。

珍しく皮肉な口を利く先輩も出てきますが、仕事に関しては、とても真摯な人であることが語られていますよ。

これら先輩諸氏から、調律師としての物事を学んで、外村が、調律師としての魂に目覚め、これをやりたいというエピローグに向かっていきます。素晴らしい小説です。

是非、ご一読を。