初版は1977/12だが、今でも通用する本格トラベル・ミステリー!77便に何が起きたか 夏樹静子/著

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故夏樹静子著作の推理小説です。

初版1977.12.15刊行の昔、昔の短編集です。しかし、その内容については、問題なく面白いです。

収録作は、次の 5編が載っています。

  • 77便に何が起きたか
  • ハバロフスク号殺人事件
  • 特急夕月
  • 山陽新幹線殺人事件
  • ローマ急行殺人事件

1972年発売の本ですので、その頃の世相が良く表れています。

「77便に何が起きたか」では、70年安保闘争だとか学生運動、過激派なんて言葉が見えますし、「ハバロフスク号殺人事件」では、今は無き、ロシアの前身であるソ連なんて国が出てきます。いわゆるソビエト連邦ですね。

内容紹介です。

空中爆発を起こし墜落した77便。その悲劇から逃れた5人には、奇妙な共通点があった……。舞台は飛行機から新幹線、豪華列車、フェリーまで。旅路の郷愁が殺意の引き金を引く!
鉄道をこよなく愛する著者による、トラベルミステリ傑作集。

『77便に何が起きたか』は、前述したように空中爆発した77便の乗客を調べていくうち、悲劇に巻き込まれた4名と、切符を購入したものの、幸い、その便に乗らなかった(乗れなかった)1名の5名にある共通点が見つかります。

プロローグでは、とんでもない運転をしていた車が事故を起こし、家族の見舞いを受けた運転者が「77便が危ない」と呟く場面と、出張で77便に乗る予定の若月に対し、弟の昭二が「事故を起こすかもしれない」と押し留める場面が出てきます。

なぜ、彼らは、77便が事故る可能性に気づいたのでしょうか?

これらをベースにおいて、刑事の露口が真相を明らかにするまでの過程を追っていきます。淡々と進む物語ですが、引き込まれていくと思います。最後は、「なるほど」と納得しました。

それぞれ、飛行機、客船、残りの3編は列車での事件を扱っています。

77便に何が起きたか 夏樹静子トラベルミステリ傑作集 (中公文庫) [ 夏樹 静子 ]

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感想(0件)

日本の官憲の立ち入れない「ハバロフスク号殺人事件」では、ソ連の対応が、現在と変わらず、上から目線で、日本をないがしろにして、怪しいソ連の乗客を一方的にかばうような話が出てきます。

今では、テレビドラマで度々現れる、時刻表を使ったアリバイ・トリックも出てきます。

しかし、この小説が書かれたのは、今から40年以上前のことで、トラベルミステリーのテンプレートが成立する以前の作品ということです。ダイヤの乱れに一喜一憂する犯人が妙におかしい「特急夕月」があります。

「山陽新幹線殺人事件」ではアリバイ崩し、「ローマ急行殺人事件」では、話を聞いただけで犯人を特定する推理小説です。

始めに言いましたが、スラスラ読める面白い小説です。

ぜひ、ご一読を。

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