権力者が狂うと世の中がおかしくなる、ラストの感動に震えよ!修羅の都/伊藤潤 著

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鎌倉府を開いた源頼朝と北条政子の苦難の物語です。

60爺は、北条政子と言えば、夫を見送った後、自分の子ども二人を鎌倉府のために泣いて斬った女傑と言うイメージを持っています。

ここに出てくる政子は、まさにそのような女傑なのですが、一人の女性であり、非常な苦しみの中で夫と築いた鎌倉府を守るために奮闘します。


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迫る圧巻のラスト!感動長編。

物語は、後鳥羽上皇が鎌倉府を滅ぼすために兵を挙げた承久の変の鎌倉府から始まります。

そこには、執権の北条義時と鎌倉を支える御家人たちが、朝敵となった今、どのように西国武士たちと戦っていくか途方に暮れている所です。皆、義時は、北条政子の登場に期待を抱いています。

このお話には、義経が平家と戦う戦闘シーンなどは一切出てきません。

また、奥州藤原氏を討滅する戦シーンは少々出てきますが、戦闘シーンよりも、鎌倉府を立ち上げた後、その先頭にいる頼朝がどのように変遷していったかを克明に記しています。また、これに従う政子の苦しみを物語っています。

彼らの子どもである大姫の不幸が綿々と綴られます。

大姫は、源義仲の息子である義孝と殺されたことで精神を病み、後、頼朝が天皇家に入内させようとしたことなどから若くして亡くなったのですが、彼女の苦しむシーンも多々出てきます。

長男の頼家も、重圧に抗しきれないぼんくら息子のような設定です。実朝に至っては、ほとんど登場しません。

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そして、頼朝も、自ら作った鎌倉府を守るため、いろいろな英雄が陥る猜疑心の塊のように、周りの者達を粛清していきます。

「狡兎死して走狗烹らる」の諺があるように、平家亡き後、優れた戦術家だった義経を筆頭に、自分の兄弟である範頼、その他力のある御家人をも粛清してしていきます。

この物語では、前半颯爽とした頼朝が、後半は、ただの年老いた権力にのみ汲汲とする認知症患者になっている様がめんめんと書き込まれています。

あの、晩年の豊臣秀吉もそうですが、権力者がアホになると、その周りにいる人達はたまりませんね!もっと、格好良く身を引きたいと考えますが、それができないのが人間なのでしょう。

認知症によって人間が壊れていくところを、これでもかという感じで書いています。それでも、英雄である頼朝の最後(落馬に至る原因)だけは、ちょっとだけかっこいい書き方をしてくれました。

お話の全体的なトーンは、上述したようにちょっと重苦しいものがありますが、サクサクと読んで行けると思います。

是非、ご一読を。

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コメント

  1. やぶひび より:

    「修羅の都」公明新聞の連載中から読みました。
    頼朝と政子は、大河ドラマ「草燃える」のイメージでしたが、
    この本を読んで認識が変わったような気がします。
    鎌倉幕府という会社のために尽くした夫婦と思えました。

    • mizutan より:

      やぶひび様
      コメントありがとうございます。返事が遅れ申し訳ありません。

      昔も今も、トップを務めるのは大変な事なのですね。
      この小説を読むと、頼朝も豊臣秀吉の様な腐れジジイになっているのが悲しいです。
      見の引き方は非常に難しいと痛感しました。