遂に完結。宿敵を滅ぼし、将来に目を向ける、軍配者も登場!北条早雲 疾風怒濤篇/富樫倫太郎 著

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1.概要

富樫倫太郎の北条早雲も、いよいよ最終回を迎えました。青雲飛翔篇から始まった北条早雲も、悪人覚醒篇、相模侵攻篇、明鏡止水篇を経て、疾風怒濤篇で完結となります。

帯の内容をまず見ましょう。

権現山での敗走、山内上杉氏の内紛、身近な者の死…。相模統一に足踏みする宗瑞に、竹馬の友・門都普からある申し出が。不退転の決意で臨む、三浦氏との最終決戦。極悪人にして名君の生涯に決着をつける。シリーズ第5弾、完結巻。

一人の暮らしをよくすることから始めて、所帯が大きくなるにつれ、幸せに出来る人が増えることに気づいた早雲が、着々と領地を広げていく様を描いて、いよいよ相模を手中にするところが描かれます。

これを邪魔してきた三浦一族も、関東に覇を唱える上杉氏の内紛を機に、着々と歩を進める早雲に劣勢を強いられ、最後は本拠地に押し込められてしまいます。最終的に、この敵を倒さねば、相模を手中に抑えたことにはならない早雲は、壮大な兵糧攻めを行います。

早雲について幸いなことは、強大な敵である山内上杉氏が内紛で揺れ続けていたことです。どんな時代でも、新興勢力が出てくる時代と言うのは、強大な権力に軋みが出て、矛盾が噴出してくる時期なんですね。示談が求めていると言ってもいいのかもしれません。

この時代は、力がものを言いますので、力がないと簡単に背かれます。さらに、信義がないと人は寄ってきませんし、仮に寄ってきたとしても、何かがあった場合に、同じように簡単に背いてしまいます。

この辺りの機微が難しく、自分の身が危ないときでも信義のために戦わなくてはならないし、苦しくても続けなければ生き残れない厳しさが語られています。それを早雲は見事に体現していますし、それを息子にも見せています。納得しない息子に、将来きっとわかると語っています。

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2.この小説を読んで考えたこと

今回の戦いでは、弟の死に続いて、やり切れないことに、早雲に近しいものが何人も亡くなっていきます。あるものは、敵の首脳を葬り去るために、あるいは、敵の秘密を探り出すために、一つしかない命を早雲のために差し出してくれます。

このような悲しい話が出てきますが、半面、息子や孫が徐々に育って来ていることも描かれます。嫡男の氏綱が力強く独り立ちしてきていますし、孫もどうなるかわからないものの、順調に育って来ています。

さらに、最後には、「早雲の軍配者」につながる物語がさらりと語られるのがうれしいですね。「風間」といっているしのびの集団は、色々な物語で出てくる「風魔」につながりますね。小次郎と言う名前も、これにぴったり当てはまります!

北条早雲という稀有な人が、皆生きていくことが大変な戦国初期に登場し、民を思い、私欲に走ることなく、苦労を乗り越え、新しい時代の申し子となったのも、歴史の不思議ですね。

早雲の教えは、何かあっても死ぬことはない現代でも当てはまるものではないでしょうか?60爺はそう思いました。

この早雲後、二代、三代と傑物が続き、後北条氏は隆盛を迎えるわけですが、四代氏政が秀吉との折衝にミスを犯し続け、北条氏を潰してしまうのはどういうことなのかと思います。

初代の教えが連綿と続いていかないのは如何なるものなのか、また、継続していくことの難しさをひしひしと感じました。

あらためて、初心忘れべからずの思いを強くしました。

是非、ご一読を。

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