ハチャメチャな世界の謎解き、M・O・Dがパッとしないね!キッド・ピストルズの妄想/山口雅也

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1.ハチャメチャな世界での推理小説

小説の冒頭で、この小説の世界について断りがあります。この世界では、警察機構が壊れていて、警察に代わって指揮を執る凄腕のM・O・D(マスター・オブ・ディテクティブ)について説明がなされています。

この小説世界の説明を読むと、凄腕と言っているのですから、M・O・Dが素晴らしい腕を持っているんだと読めるんですが、今回の小説3編を見る限り、登場したM・O・Dは、あさっての方向を示す推理しかできません!

こんな状況では、警察機構が腐って役立たないと言っているし、今回のような殺人事件が発生したら、この世界はどうなってしまうのだろうとの危惧を抱かざるを得ませんね。60爺の生きている世界の方が数段ましだと思います。

また、このシリーズ名となっている「キッド・ピストルズ」も、外見はどうしようもない男女二人組です。小説から、その成りを抜き出してみます。

男の七色に染めた頭髪は重力に逆らうかのように天に向かって突っ立ち、痩せた身体はすり切れたジャンパーに包まれている

相棒のピンク・ベラドンナの出で立ちもすごいです。

嘆きの柳のように垂れたボサボサの染め髪、蜘蛛の巣のような目の周りの化粧、よれよれの革ジャンパー

本人たちも、「どうせ俺らはパンクなんだから」などと開き直っています。

2.謎はまともで論理的かな

この小説の内容紹介です。

塔から飛び降りた学者の死体が屋上で発見された!?北村薫氏絶賛の「神なき塔」をはじめ、ノアの箱舟を模した船での密室殺人「ノアの最後の航海」、貴族庭園の宝探しゲームが死体発見に発展する「永劫の庭」など、妄想と奇妙な論理に彩られた三編を収録。

主人公たちの成りは成りとして、小説の中で出てくる「謎」は本格的なものです。wikiにも、「既存のミステリの枠組みから意識的に逸脱した実験性を持ちながら、謎解きを軸とする本格ミステリでもある。」と記してあります。

60爺は、推理小説を読んでも、しっかりと推理はせずに、名探偵が謎解きをする場面が好きです。「うーん、よく考えるなア」などという読者ですが、本小説の3篇とも、良く考えているなアと感心する作品ですね。

まずは、へっぽこ探偵に、見当違いな推理をさせた後、本命がきちんと謎を解く形は、どの探偵小説でも同じですね。この形は、遠い昔のプロレスが原型になっています。最初はやられるいいものが、逆転で勝つというものです。

ちょっと変わった推理小説を読んでみたい方、推理小説が大好きな方は手に取ってみて下さい。損はしないと思います。

60爺は、それほど推理小説が好きなわけでもありませんので、このシリーズの別の巻を読むことはないと考えます。

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