1.概要
この方の小説を読むのは初めてです。読み終わっての感想ですが、そこそこ楽しめました。
最終話は「えーっ!」っていう展開でした。面白かったんですが、ちょっとおっかない終わり方をしますよ。是非、読んでみてください。
一般的に、警察という組織は、女性を軽く扱う風潮が顕著であると聞きますが、まさしく、そんな風土を持ったW県警の中で苦闘する女性警察官達の姿を描いた短編連作の推理小説です。
6篇が納められていますが、最後の一作は書き下ろしです。
ちなみに、Wで始まる県警は、和歌山県警しかしか思い浮かばなかったです^^;
内容(「BOOK」データベースより)
警察官であるより前に、一人の人間として、常に正しくありたいんだよ―「警察官の鑑」と誰からも尊敬されていた熊倉警部。W県警初の女性警視へと登りつめた松永菜穂子は、彼にある極秘任務を与えていた。その最中の、突然死。事故かそれとも…。事故として処理したい菜穂子の胸中を知ってか知らずか、熊倉警部の娘が事件現場についてあることを思い出す―。前代未聞の警察小説。

知らなかったのですが、2019年7月27日からBSテレ東の「土曜ドラマ9」枠でテレビドラマ化されていたんですね。60爺は、BS映らないので、全く知りませんでした。
2.短編の主人公と事件
(1) 主人公
6篇の表題です。それぞれの主人公(女性警察官)の名前を述べておきます。
- 洞(うろ)の奥 清(せい)
- 交換日記 凜子(りんこ)
- ガサ入れの朝 千春(ちはる)
- 私の戦い 千紗(ちさ)
- 破戒 純江(すみえ)
- 消えた少女 菜穂子(まつながなほこ)
名前しか載せなかったのは、ある理由があるからです。その理由は、この小説を読んでくれればわかります。手に取ってください。
主人公たちには、当然、それぞれの立場があります。皆、その立ち位置で一生懸命犯罪者や自らの状況を変えようと戦っています。
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(2) 事件
ネタバレにならないよう、さわりだけしか書けません。下手な書き方をすると、読書の楽しみがなくなってしまうので・・・。
- 洞(うろ)の奥 警察官の不審死から始まります。このエピローグが怖いですよ。 交換日記 少女の殺人事件です。人間関係がわからなくなってしまいましたが、二度読んで、ようやく把握できました。
- ガサ入れの朝 ある特殊な拳銃の欧州に関する事件です。「へー、こう来たか」と感心させられましたが、警察も、ここまで馬鹿じゃないでしょとも感じました。
- 私の戦い 痴漢の事件から、最後は、こうもっていったかという終わり方。こちらも感心しました。
- 破戒 神父の殺人事件?を扱います。エピローグに新展開が・・。
- 消えた少女 少女の失踪から戦慄のエンディングへ、新たなサイコパス誕生ですね。
いずれも楽しい秀作ぞろいです。是非、ご一読を。