円華の能力で4つの事件を解決、ラプラスの魔女前日譚!魔力の胎動 東野圭吾/著

1.概要

内容紹介で「ラプラスの魔女」の前日譚と詠っています。「ラプラスの魔女」の主人公である羽原円華が活躍する短編小説です。

最後の「初出」を見ると、第四章までが「小説 野生時代」に載せられたものですが、第五章の「魔力の胎動」だけが書き下ろしであることがわかります。

それぞれのお話のキーマンである羽原円華は、「ラプラスの魔女」の中でもそうだったように、相変わらず、をはっきりものを言う女の子で、自らの力をそれとなく周りに見せつけて唖然とさせています。

第一章から第四章までは工藤ナユタという鍼灸師が登場して、彼の患者や関係者が抱える悩みを、偶然出会った羽原円華が解決していくという流れになっています。主人公は、このナユタと円華であるといっていいと思います。

そして、第五章は、「ラプラスの魔女」のプロローグにつながるお話になっており、ナユタも円華も全く登場しません。

円華の力を見たナユタは、最初は半信半疑ですが、やがて、その不思議な力を認めざるを得なくなります。

内容紹介です。

自然現象を見事に言い当てる、彼女の不思議な“力”はいったい何なのか――。彼女によって、悩める人たちが救われて行く……。東野圭吾が価値観を覆した衝撃のミステリ『ラプラスの魔女』の前日譚。

2.内容ちょっぴり

第一章と第二章は、読んでいてとても面白い小説でした。両方ともスポーツを題材に取っており、悩める選手の問題を解決するために円華が活躍するというものです。

彼女が活躍するのですから、当然、彼女の不思議な力が存分に発揮されます。それを見るナユタ達は、最初はびっくりしますが、その源泉を全く理解することなく、「当てずっぽうだろう」などと言っています。

しかし、何度も、その不思議な力を見せられるうちに、信じざるを得なくなり、彼女に協力していくことになります。

第一章では、彼女の力の一端で復活しかけた男に対し、最後は彼女の力でもどうすることもできない状況を、彼女なりの知恵で、男の本来の姿を取り戻させるという感動的なラストになっています。是非、手に取ってご覧になってください。損はさせません。

魔力の胎動 [ 東野 圭吾 ]

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感想(4件)

第二章も感動的な物語です。こちらも、自信を全く失くした男に対し、その男を蘇らせるため、周囲の人間が協力していくというものです。

円華の風を読む力でほとんどのプロが敬遠することを成し遂げます。これをもって、彼女が芸術的だというプロの技を引退で失うことから回避させるのです。こちらも感動しますよ。

第四章は、ナユタ篇の最終話です。ナユタとは「那由多」と書くのですが、桁を表わす言葉で、阿僧祇の上、不可思議の下に位置することであることが第一章で語られています。

何故、この名前なのか、ナユタに過去に何が起こったのかが解き明かされます。

第四章では、最愛(言葉通り)の相棒を失った男の、これも引退を覆すため、その相棒の死因を探すために円華がその力をフルに発揮します。

この小説では、「ラプラスの魔女」に登場するボディガードの武尾徹(たけお とおる)、ヒロインの父親である羽原全太朗部下でヒロインを監視する桐宮玲(きりみや れい)も登場し、円華をフォローしています。

是非、ご一読を。