皆の知らない現代美術界が垣間見れます!神の値段 一色さゆり/著

1.概要

2015年第14回『このミステリーがすごい! 』大賞の大賞を受賞した小説です。美術ミステリーです。

前週紹介した「嘘をつく器 死の曜変天目」は、作者一色さゆりの二作目でしたが、本書がデビュー作であり、60爺は読む順が逆になりました。

本作は、「嘘をつく・・」よりも面白かったです。本作も次作も1件の殺人事件が発生して、被害者や、その周りの出来事や軋轢を扱っていますが、本作の方がより内容に引き寄せられ、最後まで読み続けられました。

主人公は、殺害された画廊経営者の永井唯子のアシスタントである佐和子です。彼女が物語の中心にいて、彼女の日常から物語は始まります。

彼女は、唯子に誘われて唯子の画廊に努めるのですが、薄給に苦しみもがいている姿が最初に語られます。

そして、今回の小説は現代美術がテーマとなっており、その驚くべき実態(知っている人には驚きではないのかも?)と、そこで働く佐和子のような人間の現実との対比も、一つの物語なのではなんて思いました。

作品紹介です。

マスコミはおろか関係者すら姿を知らない現代芸術家、川田無名。ある日、唯一無名の正体を知り、世界中で評価される彼の作品を発表してきた画廊経営者の唯子が何者かに殺されてしまう。犯人もわからず、無名の居所も知らない唯子のアシスタントの佐和子は、六億円を超えるとされる無名の傑作を守れるのか―。美術市場の光と影を描く、『このミス』大賞受賞のアート・サスペンスの新機軸。

2.内容ちょっぴり

この作品を読んで、現代美術の作品が、どのように人の手に渡っていくのかと感心したり、その値段のべらぼうさに呆れました。

さらに、上述しましたが、画廊(ギャラリー)で仕事をする人達の日常や、海外でのアートフェアやオークションの世界、美術マーケットの闇の一面など、普段60爺のような一般的な人が触れることのできない世界をさりげなく見せられ、そちらの事実にも驚かされます。

現代美術は、自分の手で作らなくても、既製品にサインするだけで作品になってしまうなんて本当なんでしょうか?これでは、作品を手に入れても余り面白くないように感じてしまいますが。

神の値段 (宝島社文庫)

新品価格
¥693から
(2020/4/20 14:48時点)

ほとんどの人間が会ったことの無い芸術家川田無名を売るために、美術界でえらい苦労をして名を上げていった唯子ですが、さりげない優しさを示すエピソードを出した後に殺されてしまう場面は悲しいです。

佐和子は、この事件をきっかけに、自分は何もわかっていなかったことに気づくわけですが、アシスタントとして後日整理に当たるうちに、上記のような美術界の様々な世界に触れることになります。

英語に堪能ということで、現代美術界の重鎮や、とんでもない大金持ちとも触れることになりますが、60爺の知らない世界が展開されるので、これに引き込まれたのでしょうか?

推理小説として、最後にはきちんとつじつまを合わせてくれますが、唯子を失った川田無名の作品は、その後も輝き続けるのでしょうか?

是非、ご一読を。