1.概要
江戸時代の火消しを主人公に据えた連作式の時代小説です。
はっきり言って滅法面白い小説です。是非、手に取って読んでいただけると良いです。
主人公は、かつて鉄砲組四千五百石の旗本・松平隼人に仕えていた松永源吾です。松平家の定火消として活躍し、「火喰鳥」の異名で持て囃された男です。序章で、その源吾が火事場で奮闘する姿が描かれます。

一転、第一章では、松永源吾がご家老様に謁見し、予算の少なさに辟易しながら下がる場面から始まります。
何故か源吾は、松平家を辞ししており、序章の活躍を見ていた新庄藩の折下左門に出羽新庄藩消防隊を束ねる火消頭取としてスカウトされるシーンが続きます。
内容紹介です。
かつて、江戸随一と呼ばれた武家火消がいた。その名は、松永源吾。別名、「火喰鳥」―。しかし、五年前の火事が原因で、今は妻の深雪と貧乏浪人暮らし。そんな彼の元に出羽新庄藩から突然仕官の誘いが。壊滅した藩の火消組織を再建してほしいという。「ぼろ鳶」と揶揄される火消たちを率い、源吾は昔の輝きを取り戻すことができるのか。興奮必至、迫力の時代小説。
2.内容ちょっぴり
スカウトされた源吾ですが、あまりの好条件に妻の深雪が早々とOKを出し、それに引きずられる形で了承します。しかし、源吾には日に対するトラウマがありました。
しかし、新庄藩戸沢家の火消しの内情は酷いもので、百人の定員に20数名しか残っていないという体たらくです。
しかも、火消頭取並の若者・鳥越新之助にやる気が感じられないのです。新之助の父親は2ヶ月前の火事場で殉職していますが、それに対してもよそよそしい態度をとっているのも解せません。その父親が朱土竜で死んだこともおかしな点です。
上述したように、予算も前職の5分の1(200両)と限定されている中で、源吾の奮闘が始まります。妻の深雪は算勘に明るく、口入れ屋をあっという間に打ち負かすことで人員の確保を行います。
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源吾は、中核となる仲間を集めることに源吾は集中します。
前半は、この仲間を集めるエピソードが中心になりますが、これが本当に読んでいて楽しいです。
七人の侍や荒野の七人を髣髴させます。
仲間は、怪我による相撲取りを断念した荒神山寅次郎、惚れた女のため借金をした軽業師彦弥、異人の血を引いているが博覧強記の知識を持ち風読みの天才である加持星十郎です。
この後、源吾の過去が語られ、最後は恐怖の火付けとの対決に章が割かれます。
源吾が仲間集めを始めるあたりから物語が急速に面白くなっていき、源吾の悲惨な過去を知った後、最強の敵との対決が、ページをめくる手を止めさせてくれません。
是非、ご一読ください。