世に出ることが出来なかった平賀源内の哀愁と死の真相を著者が探った ねなしぐさ 平賀源内の殺人 乾緑朗

1.概要

平賀 源内(ひらが げんない、享保13年(1728年) – 安永8年12月18日(1780年1月24日))は、江戸時代中頃の人物。本草学者、地質学者、蘭学者、医者、殖産事業家、戯作者、浄瑠璃作者、俳人、蘭画家、発明家として知られる。

源内の最後は次のように伝えられています。

大名屋敷の修理を請け負った際に、酔っていたために修理計画書を盗まれたと勘違いして大工の棟梁2人を殺傷したため、11月21日に投獄され、12月18日に破傷風により獄死した。

平賀源内は、様々な才能の持ち主で、エレキテルが有名ですが、その他にも、戯作者としては風来山人(ふうらいさん じん)、浄瑠璃作者としては福内鬼外(ふくうち きがい)の筆名で作品を残しました。

毀誉褒貶の激しかった人で、本職は上記にもあるように本草学者だったのですが、山師のようなこともやっており、様々なものに手を出し、それなりの成功を収めたこともあるようです。

この源内が、殺人を犯したということが江戸の庶民に大きな話題となったようですが、その事情を知る者にとってみると、怪しい状況が多々見られ、また、遺体引き渡しがお上により許可されず、後年に生き延びたという説もあります。

本小説は、平賀源内を主人公に据えて、解体新書を刊行した杉田玄白らを登場させ、こんな源内の最後の事件の謎解きを行うものです。

内容紹介です。

晩年に人を殺め、伝馬牢で獄死したという平賀源内。“江戸の天才”と謳われた男に何が!?『このミス』大賞作家が「歴史の謎」に挑んだ渾身作!

2.内容ちょっぴり

佐野善左衛門が田沼意知を襲った事件から物語が始まります。この事件で、意知の父である田沼意次の凋落が始まるわけですが、物語は、3年後の蝦夷地での調査の差し止めに繋がっていきます。

ここで、場所を過去の江戸に移し、源内の起こした殺人現場に持っていきます。悪夢を見て目覚めた源内の自宅では、実際に殺人が起こっておりました。

その後、さらに時間は過去へ飛び、源内の拵えた温度計の話、上述した祇作者としての顔などを紹介したのち、源内の出身地とその立場などが語られていきます。

このような感じで、この後も、長崎遊学や、秋田の鉱山での仕事など、時間軸を前後して物語が進んでいきます。

ねなしぐさ 平賀源内の殺人

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そして、この物語の中心にあるのは、源内が後世に残る何かを成し遂げたかったが成し遂げられない悲哀だと思います。ミステリーとしては、ちょっとどうかなという感じはありますが、著者の平賀源内への想いが伝わってくると思います。

「紅毛本草」の翻訳もかなわず、絶対無理と思っていた杉田玄白らの「解体新書」が、わずか数か月で刊行されたことにショックを受けた様も述べられています。

才能に恵まれていても、一つのことを成し遂げるだけの粘りがなかったんですね。

最後に、なぜ源内が殺人犯となったのかが語られます。淡々と読むことが出来ると思いますよ。

是非、ご一読を。

参考 Wiki