どのお話も面白い!偽りの春 神倉駅前交番狩野雷太の推理 降田天/著

1.概要

著者の降田天(ふるた てん)は、「女王はかえらない」で第13回『このミステリーがすごい!』大賞(宝島社主催)の大賞を受賞しています。

この感想文を書くために、wikiを見たところ、この名前は、萩野 瑛(はぎの えい)と鮎川 颯(あゆかわ そう)が小説を書くために用いている筆名の1つだそうです。両者とも女性です。

2人は大学の同級生で、東京都で共同生活をしながら執筆活動を行っているそうです。萩野が大筋を書き、2人で登場人物の心情などを話し合った後で、鮎川が執筆しているということです。

本書は、上倉駅前交番に勤務している狩野雷太が主人公です。ですが、小説5編とも、初めに犯行が明らかにされており、その謎をどう狩野が解くのかという書き方になっています。いわば、犯人も主役なんですね。

昔NHKでやっていたテレビドラマの「刑事コロンボ」や、フジテレビ系で放送された「古畑任三郎」の形ですね。狩野は、「ああ、○○さん、もうひとつ聞きたいことがあります。」なんてことは言いませんが。

内容紹介です。

あなたは5回、必ずだまされる。「落としの狩野」と呼ばれた元刑事の狩野雷太。過去を抱えて生きる彼と対峙するのは、一筋縄ではいかない5人の容疑者で…。第71回日本推理作家協会賞短編部門受賞作。

2.内容ちょっぴり

60爺は、この小説を読み始めた時、話の暗さに、「こりゃ、最後まで読めないかもしれないな」と思いました。先ほども言ったとおり、犯人が、犯行を起こすまでのプロットが「エーーッ!」っていう感じでついていけない展開だと思ったからです。

しかし、犯人が、些細なミスを犯し、そこから上倉駅前交番に行かざるを得なくなり、もう一方の主人公である狩野雷太との接点が生まれます。そして、いかにもどんくさい感じの可能を見くびっていると唐突に・・・。

上述したとおり、お話は5篇あります。

  • 鎖された赤
  • 偽りの春
  • 名前のない薔薇
  • 見知らぬ親友
  • サロメの遺言

偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理

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どのお話も面白いですよ。先ほども述べた通り、犯人の視点でお話しが進むので、犯人に気持ちを持って行かれてしまいますが、制服警官である狩野雷太にかかると、なぜか、バレバレになってしまいます。

そして、どのお話にもほどよい毒があり、読みごえたも十分です。60爺は、表題作の「名前のない薔薇」が非常に良かったと思います。

「落としの狩野」と呼ばれた元刑事の狩野が、何故、今、神倉駅前交番の制服のお巡りさんをやっているのか、その謎についても語られます。

とにかく、読んでいて楽しい一冊です。

是非、ご一読を。