過去と決別できていない鮫島が活躍 暗約領域 新宿鮫Ⅺ 大沢在昌/著

1.概要

久々の新宿鮫シリーズ11弾になります。前作発表から8年経ちました。

前作で、鮫島が信頼し、バックアップともなってくれた上司の桃井が殉職し、さらに、癒しとなっていてくれた恋人・晶とも別れた新宿署生活安全課の刑事・鮫島は、事件で断ち切られた絆に未だに縛られており、睡眠がとれなくなっています。

そのため、新たな捜査に没頭することで、その傷を癒そうとしているようです。そして、登場時の鮫島は、桃井の穴を埋める課長代理となっていることが語られます。

彼に似合わず、昼間は会議に出席し、勢い、捜査は夜間に行うという形になっています。しかし、鮫島は有能ですので、何ら、意に介さず勤めているようです。

新宿署署長らは、鮫島を課長にと要望したのですが、鮫島を目の敵としている雲の上の人たちは、新上司として女性のノンキャリアで出世街道を驀進している阿坂景子を赴任させます。

彼女はルール破りを認めるわけにはいかないとして、単独捜査をやめ、新人刑事・矢崎を相棒として指導するよう求めてきます。

内容紹介です。

信頼する上司・桃井が死に、恋人・晶と別れた新宿署生活安全課の刑事・鮫島は、孤独の中、捜査に没入していた。北新宿のヤミ民泊で男の銃殺死体を発見した鮫島に新上司・阿坂景子は、単独捜査をやめ、新人刑事・矢崎と組むことを命じる。

2.内容ちょっぴり

今回の事件は、ヤミ民泊での殺人事件です。しゃぶの取引があるという「タレコミ」から、あるビルを見張ることになった鮫島が、鑑識の藪とカメラの取付けを行っている最中、たまたま、銃殺死体を発見するエピソードから物語は動き出します。

ここから、鮫島は、刑事を辞めた(辞めさせられた)人間を介してヤミ民泊の主までたどり着きます。

様々な思惑が交錯するなか、やくざの大物や国際密輸団まで絡んだ事件に発展していきます。さらに、前回事件で鮫島の命を狙った国際的犯罪者である陸永昌が、ヤミ民泊で殺された友人の死の謎をめぐって来日します。

スケールが何倍にも大きくなって大団円に向かって進んでいきます。

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一方、新しく赴任した新課長・阿坂景子が登場し、鮫島に対し、「ルールを曲げない」という信念を伝えます。上述したとおり、単独捜査は認めないということです。

阿坂は、日本の警察組織を信じており、鮫島の言う「警視庁、警察庁双方に、鮫島のことを快く思わない人間がいる」ことを信じようとしません。

鮫島に相棒としての新人を配することを命じ、その新人が鮫島と組まないというなら、自分が鮫島と組むとまで言います。

新たに相棒となった矢崎は優秀ですが、物語が進むうちに、鮫島の言を阿坂も信じざるを得ない事実も出てきて・・・。

今回の事件以降も気になる登場人物と鮫島の距離が気になってきました。

是非、ご一読を。