氏康の少年時代と氏綱の苦闘!北条氏康 二世継承篇/富樫林太郎 著

1.概要

富樫林太郎の新たな「北条サーガ」(あとがきで著者が語っています)の始まりです。「早雲の軍配者」から始まり、「信玄の軍配者」、「謙信の軍配者」と続き、「北条早雲」5巻に続く物語です。早雲死後の物語ですね。

さて、北条氏康は、歴史好きな方はお判りになると思いますが、戦国大名である後北条家3代目の当主です。それなのに、今回の小説の副題は、二世継承篇となっています。手に取った時から、副題に対して大きな違和感がありました。

その理由は、この小説を読んでよくわかりました。氏康は、この小説の中で元服し、初陣に臨むのですが、まだまだ少年であり、後半までは、まだ少年時代の名前である伊豆千代丸と名乗っています。

そして、この小説の主人公は、氏康の父で早雲の息子である氏綱です。あとがきの中では、こう記されています。

早雲という偉大な父の跡を継いだ氏綱の苦闘を中心に物語は進んでいく。だから「二世継承篇」なのだ。

内容紹介です。

偉大なる祖父・早雲。その志を継いだ父・氏鋼。関東制覇という一族の悲願を背負う三代目は、いかなる道をゆくのか。信玄・謙信との死闘に彩られた生涯を描き出す新シリーズ第一弾!

2.内容ちょっぴり

物語は、早雲が亡くなったところから始まります。

二代目というのは、武田勝頼のように偉大な父・信玄を越えようと、無謀な戦に手を出し、家臣の心が離れて滅亡してしまった例があります。

しかし、氏綱には、「父を越えてやる」なぞという見栄はなく、「父上の教えには従わねばならぬ」と固く信じていました。氏綱は父の遺言に従い、無駄な出費を抑え、油断することなく防備を固めたため、境を接する上杉両家や武田氏も付け入るスキがありませんでした。

また、早雲の定めた四公六民という奇跡にも近い年貢率を踏襲することで、早雲と同様に農民たちの圧倒的な支持を集めます。

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さらに、氏綱は、氏を北条と名乗ることにしました。氏綱は、早雲から続く関東全土を支配しようとする野望をもっており、北条を名乗ることで鎌倉時代に絶大な権力を誇った時の執権の権威を求めたのです。

こんな中で、三代目である氏康となる伊豆千代丸は登場します。しかし、学問にも武芸にも身が入らない女々しい少年なのです。

父である氏綱は、このような少年である千代丸を厳しく育てようとしますが、親の心子知らずで、なかなかうまくいきません。

足利学校に軍配者として学んでいた小太郎を呼び寄せ、千代丸の将来の股肱である臣も登場して、千代丸も徐々に成長を見せていきます。

物語は、氏綱が苦闘しながら江戸城を手に入れ、着々と足場を広げていきますが、白子原の合戦で重傷を負い、一転北条氏の忍耐の時が始まるのです。

面白い小説です。是非、ご一読を。