作者の得意な不思議な世界の物語!大江戸火龍改 夢枕獏/著

1.概要

久々に読みます夢枕獏の小説です。しかも新作です。題名は、表題にある通り、「大江戸火龍改」、これ、「おおえどかりゅうあらため」と読みます。

「鬼平犯科帳」で長谷川平蔵が長官を務めた「火付け盗賊改め方」即ち「火盗改」のもじりですかね?

火龍改については、冒頭で説明があります。正式には、化物龍類改(けぶつりゅうるいあらため)というそうです。この「化」が「か」と発言され、「火」の字があてられたそうです。

60爺が勝手に考えた「火盗改」のもじりではないんですね。

主人公は、「遊斎」(ゆうさい)と言います。小説から、彼の特徴が記されています。

  • 艶があってなまめかしい長い白髪を頭の後ろで無造作に束ね赤い紐で結んでいます。
  • 身なりは、いつも道服の如きものを身に纏っています。
  • 年齢は不詳。しかし、白髪ですが若く、せいぜいいっていても三十代後半くらいです。
  • 目が赤いそうです。
  • やけに古いことや、世間のことに長じていて、並の老人よりよほど物知りです。

この「遊斎」が身の回りに起こる不思議なことや、持ち込まれてくる「この世に洗わざること」を解決する物語です。

著者の描く「陰陽師」の世界に通ずるものがありますね。

内容紹介です。

満開の桜の下で茶会を催していた一行から悲鳴が上がった。見れば大店のお内儀の髪が逆立って、身体ごと持ち上がっていき、すっかり桜の花に隠れてしまった。見上げる者たちの顔に点々と血が振りかかり、ぞぶ、ぞぶ、ごり、という音のあと、どさり、と毛氈の上に女の首が落ちてきた―。遊斎は、飴売りの土平、平賀源内らとともに、この怪奇な事件の謎を追う。

2.内容ちょっぴり

目次を見ると、次の順に物語が並んでいます。必要と思われる個所にルビをふりました。

  • 火龍改の語(かりゅうあらためのこと)
  • 遊斎の語(ゆうさいのこと)
  • 手鬼眼童(しゅきがんわらわ)
  • 首無し幽霊
  • 桜怪談

「火盗改の語」の中に火盗改の仕事が記してあります。

人間のふりをして人間の中に紛れ込んでいるものをかること、かつ、人に害をなすものを祓ったり鎮めたりすること

しかし、人に害をなさない限りは、そのままにしておくそうです。こういう不可思議なことを描かせると抜群に面白い物話にしてくれるのは夢枕獏だからでしょう。

早々、それぞれの話に出てくる物の怪や怪しいモノの名称を挙げてみましょう。

  • 遊斎の語  土鯉(どこい)、呑蟲(どんちゅう)
  • 手鬼眼童  火龍帖、手鬼眼
  • 首無し幽霊 蛟龍の鱗、首無し幽霊
  • 桜怪談   人魚の蝋燭、犬憑き

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個々の名称は挙げましたが内容については解説しません。是非、皆さんご自身で読んで確認してください。

桜怪談は長編ですが、他は短編です。それぞれの物語、皆、面白いです。あっという間に読み通せると思います。

登場人物は、片腕の飴売り「土平」、剣の名手「如月右近」、蘭学者、戯作者、発明家「平賀源内」、与力の「間宮林太郎」です。

物語の中で、不思議なことを遊斎質問した際に遊斎から「知りたいですか」と問われたものは、「い、いや‥」とか「いや、いい」と言ってしまうところに遊斎の怖さがあると思いました。

ぜひ、ご一読を。