1.概要
本書はヒポクラテスシリーズの第三巻です。60爺は、図らずもシリーズの第三巻を手にしたわけです。
冒頭から、浦和医大法医学教室に「腑分け屋はいるかね」と光崎藤次郎教授を城都大付属病院の内科医・南条が訪ねてくるところから物語は始まります。
ここで、主人公である光崎教授を「大概に不遜」と言っており、南条についても負けてはいないと言っています。ここで、これもレギュラーである栂野真琴が相手をしていると光崎教授が現れ、相手に対し「クスリ屋」と呼びかけるのです。
どうやら、この二人は旧知の間柄で、相手の悪口を言いながらも互いに認め合っているようです。

そして、南条から、前日搬送され急死した前都議会議員・権藤の死に疑問があると伝えられます。
肝臓がんが死因なのですが、九ヶ月前に受けた健康診断では異常がなかったことから、真の原因を掴むべく、埼玉県警の刑事・古手川を絡めて一騒動が発生します。
そして、光崎が司法解剖して分かったことが、とんでもない感染症だったのです。
ここから、第二の患者の死亡につながり、その感染がどこで起きたかを見つけるのに、新たなドタバタが起きるのです。そして、そこで留まらず、真琴は光崎の助手キャシーと共に感染源を見つけるために奮闘します。
内容紹介です。
急激に悪化する謎の“肝臓がん”--相次ぐ不審死は未曽有のパンデミックの始まりなのか!?大好評・法医学ミステリー「ヒポクラテス」シリーズ待望の第3弾!
2.内容ちょっぴり
この小説は五つの章から成り立っています。
- 米の毒
- 蟲の毒
- 職務に潜む毒
- 異国の地の毒
- 人の毒
「米の毒」は、上述した南条の登場から、急死した権藤の司法解剖を遺族が反対し、何故解剖を反対するのかを古手川が調べ抜き、最終的に解剖を認めざるを得なくなるまで追い込み、その死の原因が衝撃的な内容であることが判明します。
「蟲の毒」は、死の原因を公開したことで、権藤の死と同様の疑いのある案件を抽出したところ、似たような案件が出てきます。しかし、ここでも、何故か遺族が解剖に同意せず、その対応に真琴や古手川が活躍するお話です。
「職務に潜む毒」は、「米の毒」、「蟲の毒」で犠牲になった二人の足取りを追っていき、あるグループにたどり着きます。しかし、このグループのメンバーは何故か自分たちの足取りを明確にしようとしないのです。
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「異国の地の毒」は、先のグループから何とかアメリカの某地区を訪れたとの証言から、真琴がキャシーと共にアメリカに渡り、日本人には想像することが出来ない差別という網の中で、真相を暴こうとする姿が描かれます。
「人の毒」は、大団円を迎える章です。真琴とキャシーがCDCのグレッグと共に、先のグループの足取りを追いかけ、ついに彼らのとんでもない所業が明確となります。
それにしても、この小説の中で、議員団の不行跡や、開かれたアメリカと言われる中でのとんでもない差別の実態を見ることが出来ます。なんか空しくなりますね。
小説は、光崎、南条の掛け合い、南条からコテンパンにやられる古手川刑事、真琴、人を人とも思わないキャシーの発言とアメリカでの立場など見どころが多く、すんなり読み込めると思います。
是非、ご一読を。