1.概要
この作者の作品は初めて読みます。作品の世界に入り込むのに、少々時間を要しましたが、入ってみればなかなか面白く、409ページの長編でしたが、それほど時間を要さずに読み切りました。
今回は、始めに内容紹介をします。
二〇九五年、壁によって分断された東京は“不眠の都”と呼ばれていた。目覚めるのははたして天使か怪物か 眠り姫を目覚めさせるため、八人目の王子は壁をこえる

上述のように、西暦2095年の東京が舞台となっています。この時代の東京は、「北区赤羽イワブチから大田区ロクゴウへいたる蛇がのたうつような1本のライン」で表現される壁に分断されています。
実際、地図上で赤羽岩淵から大田区六郷を線で結んでみると、東京といっても所謂都内が分断されていることがわかります。

しかも、東京は人が慢性的に眠ることが出来ない都市となっており、それゆえ、人々は眠りを求めているにもかかわらず、眠りは寝台のまわりから消えている設定です。
以上のような設定の中で、たくさんの人物が登場し、最終的に目覚めるのが天使か怪物か不明のまま、眠り姫を策定し、目覚めさせるために悪戦苦闘する物語です。
この作品は、以下の記事でもお伝えした「螺旋プロジェクト」の一作品でもありますが、下記作品のように登場人物は明確に海の民、山の民と区別されていないと思います。
歴史の英雄が全てを望んだわけではない!もののふの国 天野純希
2.内容ちょっぴり
この作品は11章に分かれています。全部、書いちゃいますね。
- 01 どうしてこんな遠くまで来てしまったんでしょう
- 02 百年の眠りについたお姫様を<王子>が目覚めさせるお話です
- 03 この都にはアクビが蔓延しています
- 04 あら、アンタはもう死んだのかと思った
- 05 親知らずを抜くというのは、つまりそういうことなのです
- 06 アタシたちは、ちょっとだけ未来を知ってる
- 07 体から抜け出た記憶がまだその辺りに浮かんでいるみたいに
- 08 どうして男湯と女湯のあいだには壁があるんだろう?
- 09 ようするに、すべては、おとぎ話なんですよ
- 10 眠り姫が、あなたが来るのを待ってる
- 11 なんておかしな大きな耳
登場人物紹介には、25名(うち2名はひとくくり)と1匹の犬です。まあ、当然のことながら、登場の濃淡は当然ありますが。
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主人公はシュウで良いと思います。シュウで登場していますが、ちゃんと漢字の名前があって「二見集」と言うんですね。登場人物紹介を見ていて、今、気づきました。
登場人物を見ていて気づいたんですが、カタカナと漢字を持つ人と、そうでない人がいます。それがどうしたと言われても困りますし、作品の中では、皆、カタカナで登場しています。
物語は、睡眠コンサルタントであるシュウが様々な登場人物と交錯しながら、何と、人を覚醒させるための方法を探り出し、それを使って眠り姫と呼ばれる人物を捜し出し覚醒させるまでを記載しています。
ここに、上述した壁が立ちはだかり、しかも、壁の周りは「バラ線地帯」と呼ばれ、名前の分からない植物がはびこり、野生の匂いを放つジャングルに化けています。これを、どう回避するのか、バラ線地帯を蠢く人物もおり、興味をそそられます。
是非、ご一読を。