全13篇の短編小説集。降るがいい 佐々木譲/著

1.概要

久しぶりの佐々木譲の小説です。今回は、シリーズものである「道警シリーズ」ではありません。

60爺にとって、佐々木譲の小説では初めてとなる短編をまとめた小説集です。

あとがきに書いてありますが、雑誌発表を予定せずに自作朗読会のために書いた作品も4編ありです。

その4篇ですが、まず、この本の表題となっている「降るがいい」、「迷い街」、「不在の百合」、「隠したこと」です。この本の最初の4作品ですね。ただ、後に、全てざいっしに掲載されています。

佐々木譲の作品ですので、読みやすくてすらすら読めましたが、「えっ、これで終わり?」と感じたものや、「何を言いたかったのだろう」と思った作品もいくつかありました。その反面、こいつは面白いと感じた作品も複数ありました。

一番長い物語でも26ページですので、それぞれの作品を読むのに、それほど時間を取られません。

内容紹介です(「BOOK」データベースより)。

本番当日に失踪した舞台女優と数年ぶりに再会した脚本家の心に去来したもの(「不在の百合」)。かつての仕事仲間の訃報を私に告げた、意外な人物(「隠したこと」)。自堕落な生活を続ける後輩との会食で、私がとったある行動(「反復」)…。都会の片隅で生きる人々の埋もれた「真実」が明かされるとき、過去の重みが忍び寄る。佐々木譲が贈る渾身の人間ドラマ、全13篇。

2.内容ちょっぴり

作品名とページ数です。

  • 降るがいい      13
  • 迷い街        13
  • 不在の百合      11
  • 隠したこと      10
  • 反復         24
  • リコレクション    23
  • 時差もなく      21
  • ショッピングモールで 22
  • 遺影         20
  • 分別上手       21
  • 褒賞と罰       20
  • 三月の雪       24
  • 終わる日々      26

降るがいい

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当然のことながら、全ての作品の登場人物は全く違っていて、連作となる作品は一つもありません。

「迷い街」は、外国を旅していて印象の残ったところに行きたいのですが、二度とたどり着けない所を題材にしたものです。行きたくて行きたくてなども訪れますが、行きつけないもどかしさを生かした良い物語だと思います。

「不在の百合」は、この小説の中でも短い作品ですが、人間の見方の頼りなさを見せつけられるものです。自分の見方の他に、やってみないとわからないものがあることを教えてくれます。

「隠したこと」の結末も、やっぱり言えないよなーと共感しました。

「反復」の主人公が最後に取った行動は、まさに頷けるものでした。世の中には、自堕落な人間が多く、「いつまでも甘ったれてるんじゃないよ」と思いました。

「分別上手」は、この短編集の中で一番面白い作品でした。主人公は、もうおばあちゃんと言われる年齢ですが、自分の城を守る手管が非常に素晴らしいものでした。自分はえらくないのに勘違いする野郎に鉄槌を下すさまが見ものです。

是非、ご一読を。