1.概要
2015年『このミステリーがすごい! 大賞』大賞受賞作『女王はかえらない』の著者が描く、受賞後第一作目です。
昨今騒がれているSNSで起こった事件につながる、現代社会の闇や問題をうまく表現した作品だと思います。
本作ですが、始めは主人公ふたりともとても嫌な性格で共感する気になりませんでした。彼(彼女)のやっていることが、とても稚拙で自分の気に入らないものを徹底的に排除しようとする姿勢は、現在の日本社会の姿ですね。

匿名をいいことに、自分の言いたい放題、嫌がらせの嵐です。人のことはほっておけばいいのに何でこんなことをやるんだろうと思いながら読んでいました。
また、嫌がらせを受けた側も、書き込まれた言葉をまともに受け取って、仕事にも影響してしまうという悪循環です。
もう、読み続けるのが限界かなと言うところで、いい意味のどんでん返しが起こって俄然面白くなり、そこから終わりまではあっという間に読み切りました。
内容紹介です。
児童向け雑誌の担当を外された編集者の楓は、娘のコスプレ衣装を自作する“ソラパパ”のブログに批判的なコメントを残したことから、過去のブログを匿名掲示板に晒されてしまう。そのことから陰湿なストーカー被害に遭うようになった。一方、“ソラパパ”こと棚島は、家庭や職場でのストレスを解消するため、ブログで粘着してきた“色葉”を破滅に追い込もうとする―。匿名の二人が交叉したとき、驚愕の真実が浮かび上がる!
2.内容ちょっぴり
主人公は、綾乃楓と棚島悟の二名です。
この方たち、家庭や仕事のストレスを解消するためなのか、自分の考えに合わない人のブログに匿名で批判していきます。
上述したように、自分の言いたい放題、さらには、内容紹介にあるような「過去のブログを匿名掲示板に晒す」ようなまねをします。
この社会、百人いれば、考え方が百通りあるということがわからないんですかね。考え方が、とにかく、子供の用で、気に入らなければコメントを無視して掲載しないような策を取ればいいのに正面切って争います。
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それを根に持って、忙しい(もっと他にやることがあるはず)のにネットを漁って、相手を貶めようとする執念と言うか、余裕がないんでしょうか?まア、現代日本の縮図のようですね。
表題にあるように、このふたりの主人公が出会って大問題が起きるのかと構えていたんですが、もっと衝撃的な事実が発覚します。
そこから、物語は進みだし、全然違う方向で大きな事件が起こります。とにかく読んでみてください。
しかし、この主人公たちは、なにか大事なものをなくしたまま、大人になってしまったと60爺は思います。というか、何故、赤の他人がやっていることを批判するんですかね?
さらには、その批判を真に受けて、真っ向から返事を返すんでしょうか?それで、自分が嫌な気持ちになるなんて何か違うような気がします。ほっておけばいいのにと何度思ったかしれません。
まあ、それではお話にならないのでしょうが・・・。
是非、ご一読を。