良くできた短編5編が楽しめます。静おばあちゃんと要介護探偵 中山七里/著

1.概要

中山七里の推理小説です。

主人公は、同じ作者の「要介護探偵の事件簿」の下半身は不自由だが、頭の回転が早く口が達者な老人・香月玄太郎と、「静おばあちゃんにおまかせ」に登場する元裁判官の高遠寺静です。このふたつの推理小説の主人公がコラボレーションした作品です。

と思っていたら、内容紹介にあるように、中山七里の「このミス」大賞受賞作「さよならドビュッシー」で玄太郎おじいちゃんは登場していたんですね。

合わせて内容紹介に「老老コンビ」とありますように、このふたり、実は高齢なんです。高遠寺静は80歳、香月玄太郎は、この小説の中で年齢は見つけられませんでしたが、70歳で脳梗塞を起こし、リハビリで回復した人物です。

ともかくも、この玄太郎おじいちゃんと静おばあちゃんの老老コンビ(静おばあちゃんは玄太郎じいちゃんをあまり好きではないようですが)が、目の前に現れる事件を次々と解決していく推理小説です。

中山七里の作品ですので、肩も凝らず、お話も面白く、すいすいと読み進められることが出来ますよ。

60爺も、年をとっても、このふたりのように頭も明晰で行動力のある老人になりたいですね。

内容紹介です。

大学でオブジェが爆発し、中から遺体を発見。詐欺師を懲らしめるため2人は立ち上がった。父が認知症で悩む男性の相談に乗ったら…。同級生が密室で死亡。事故か、他殺か、自殺か。高層ビルから鉄骨が落下、外国人労働者が被害に。『さよならドビュッシー』でおなじみ、玄太郎おじいちゃん登場。介護、投資詐欺、外国人労働者…難事件を老老コンビがズバッと解決!日本で20番目の女性裁判官で、80歳となった今も信望が厚い高遠寺静。お上や権威が大嫌いな中部経済界の怪物、香月玄太郎。2人が挑む5つの事件。

2.内容ちょっぴり

この作品は、5つの物語からなる短編連作小説です。

  • 第一話 二人で探偵を
  • 第二話 鳩の中の猫
  • 第三話 邪悪の家
  • 第四話 菅田荘の怪事件
  • 第五話 白昼の悪童

第一話は、玄太郎じいちゃんと静おばあちゃんが邂逅するところから始まります。静おばあちゃんの講演に来ていた玄太郎じいちゃんが「あんたの講演は面白うないな」とケチをつけたのです。

そして、講演終了後の立食パーティーの最中にオブジェが爆発し、中から遺体が発見されます。これに端を発し警察に介入して事件に立ち入る玄太郎じいちゃんと、それを快く思わない静おばあちゃんのやり取りが面白い物語になっています。

第二話は、儲け話で老人をだます詐欺師たちを懲らしめる物語です。最初は乗り気でなかったのに、自分の気になる女性が絡んだ途端に急にやる気を出す玄太郎じいちゃんがほほえましくも面白い物語になっています。

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第三話は、父が認知症で悩む男性の相談に乗りますが、その父は玄太郎じいちゃんの古い恩人で、彼の起こした万引きを紐解いていくと、考えもしなかった大事件に繋がっていきます。

このお話のプロローグで、家を探す静おばあちゃと玄太郎じいちゃんの接点が出てきて笑えます。

第四話は、静おばあちゃんの高等女学校時代の同級生と25年ぶりに再会しますが、その彼女が原因不明の一酸化中毒事件で亡くなってしまいます。

それとは全く別の所で発生した不可解な一酸化中毒事件の原因を探る玄太郎じいちゃんのお話が終盤で収束し、静おばあちゃんの旧友の一酸化中毒事件の謎が解明される物語です。

良くできた話になっていて、読後、感心しました。

第五話は、高層ビルから鉄骨が落下、外国人労働者が被害に遭いますが、その労働者の死体に残された痕跡から悪質な犯罪を見抜いた玄太郎じいちゃんが無謀な動きに出るのを気付いた静おばあちゃんが動きます。

いずれの物語もよく練られていて面白い物です。

是非、ご一読を。