戦場をかける一陣の旋風、結末が悲しい!蛇衆 矢野隆/著

1.概要

矢野隆が、2008年『蛇衆』にて第21回小説すばる新人賞を受賞した作品です。戦始末に続く矢野隆作品の感想ですが、今回の作品は史実ではない戦国伝奇物にあたります。

時代は室町末期、金で雇われて戦に加わる傭兵集団:荒喰(あらばみ)と呼ばれる者たちの物語であります。

とにかく強いの一言です。たった、数名の集団ですが、戦の帰趨を変えてしまうほどの力を携えています。

プロローグは、鷲尾重意(嶬嶄の若かりし頃の名前)が、足下の村人の崇める巫女(蛟)を滅した際に、息子が己を破滅させるとの託宣を聞き、自分の息子(赤子です)を「殺せ」という指示を出すところです。

舞台は、それから30年後、鷲尾領に押し出してきた黒部の部隊を息子を殺せと命じられた末崎弥五郎が迎撃する場面へ移ります。その戦の中で、自慢の部下である吉野伝兵衛が討ち取られてしまうのです。

伝兵衛を討ち取ったのが、上述の傭兵部隊『蛇衆』なのです。とにかく、彼らの戦闘力は高く、戦場を我が物顔で走り回ります。

内容紹介です(「BOOK」データベースより)。

戦国の気運高まる室町末期、自らの力だけを頼りに各地を転戦する傭兵集団がいた。その名は「蛇衆」。頭目の朽縄をはじめ、6人は宗衛門老人の手引きで雇い主を替え、銭を稼いでいた。九州のとある地方の領主・鷲尾嶬嶄に雇われ、目覚ましい働きを見せた。だが、鷲尾家は血で血を洗う激しい跡目争いの渦中にあった!比類なき臨場感のノンストップ活劇時代小説。第21回小説すばる新人賞受賞作。

2.内容ちょっぴり

『蛇衆』の面々です。

  • 宗衛門 渉外担当
  • 朽縄  体術 『蛇衆』のリーダー
  • 鬼戒坊 砕軀(さいく) 巨大な金棒
  • 孫兵衛 雷槌(いかづち) 百発百中の弓矢
  • 夕鈴  血河(けつが) 細身の刀
  • 無明次 雫(しづく) 手裏剣
  • 十郎太 旋龍(せんりゅう) 両端に穂先を持つ槍

彼らが、己の得意とする武器を持って戦場を駆け抜けるとき、そこには)数多くの死体が折り重なって転がっていくのです。味方にすれば力強いことこの上ありませんが、敵になると大変厄介です。

そして、黒部の部隊に応援した彼らに、鷲尾嶬嶄からの要請が来るのです。

我妻との戦に置いて、長男である弾正が勲功欲しさに突出したことで、鷲尾軍は壊滅寸前に陥りますが、『蛇衆』の活躍によって、何とか崩壊を免れるのです。

その後、鷲尾嶬嶄の奸計により、リーダーである朽縄が『蛇衆』から離脱してしまいます。

『蛇衆』は、その後も各地を転々として戦に明け暮れますが、今度は、わしの侍となった朽縄の要請により、再び鷲尾領に足を向けます。

そして最後の闘いに向かって、物語は最高潮を迎えます。その間、それぞれのメンバーの過去が語られ、身につまされます。

面白い小説です。

是非、ご一読ください。