心温まる物語、行助と好みの未来に幸あれ!静かな雨 宮下奈都/著

1.概要

「羊と鋼の森」の著者である宮下奈都の作品です。60爺は、この作品の感想で、「静かな空間で語られる若手ピアノ調律師の成長の物語!」と述べました。

こちらは、鯛焼き屋のこのみと彼女に寄り添い共に暮らす障害を持った主人公行助の物語です。この物語も、「羊と鋼の森」と同様に、「静かな空間で語られる」ものです。全編を「ほんわかとした」感じで流れています。

本当に優しい優しいお話です。物語が淡々と進んでいくなかで、行助の気持ちがいろいろ揺れてしまいますが、その気持ちの揺れ方も実に淡々としています。

物語の中身は、少し悲しいですが温かな日常がつづきます。この物語を読んでいるとこのみの焼く鯛焼きが食べたくなります。宮下奈都の3作目だそうです。

この方の作品は、何かドラマチックなオチがあるわけではありませんが、静かに読むことが出来ます。

内容紹介です。

忘れても忘れても、ふたりの世界は失われない。新しい記憶を留めておけないこよみと、彼女の存在がすべてだった行助。『羊と鋼の森』と対をなす、著者の原点にして本屋大賞受賞第一作。

2.内容ちょっぴり

何度も言いますが、このお話は、優しくて静かで、そして切ない物語です。

この物語は、クリスマスに勤めていた会社が潰れて、退職金2ヶ月分が来月口座に振り込まれるとわかった日に、こよみの鯛焼きに出合うことから始まります。この時、行助は、こよみの名を知ってはいません。

とてもおいしい鯛焼きで、再び、行助そこに行くことが楽しみなった行助です。

そして、新しい仕事が見つかった日から、行助の日常が淡々と綴られます。鯛焼き屋のこよみと会話ができるようになり、だんだんと仲が深まっていくのです。

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そして、行助の母や姉がこよみと出会って、こよみの持つ良さを見て行助を応援してくれるのです。ここまでは、ほのぼのとした日常です。

しかし、物語は、ここから暗転します。なんと、このみが事故に巻き込まれてしまうのです。なんと、この事故で、こよみは一日しか記憶が保てなくなってしまうのです。

事故以前の記憶はしっかりしていますが、事故後の出来事は寝て起きると忘れてしまうのです。

行助は決断を迫られます。そして、行助は重大な決断をします。周りは大反対です。母も姉も、さすがに行助の判断を翻すよう説得にかかります。

しかし、行助の決断は固く、ここから物語は暖かさを増していきます。

心温まる物語です。行助と好みの未来に幸あれと願います。

是非、ご一読を。