検事の責務は、罪をまっとうに裁かせること!検事の信義 柚月裕子/著

1.概要

柚月裕子の佐方貞人シリーズは、第1作『最後の証人』から始まる柚月裕子さんの小説シリーズで、カテゴリーとしては刑事ミステリーとなるそうです。本作は、シリーズ4作目ですが、60爺は、このシリーズはは込めて目を通します。

この小説は、短編の連作小説で、どうやら佐方貞人の検事の時代を扱っているようです。

米崎県検事の佐方貞人は、米崎地検後半部に属する検事ですが、表題にあるように「検事の責務は、罪をまっとうに裁かせること」を第一に考えています。これは、まっとうなことをいっているように考えますが、どうやら検事の世界では住みにくくなる考え方のようです。

佐方は、自分が疑問に思うと、周りが何を考えていようと、どんなに忙しかろうと、徹底的に事件を見直し、たとえ、上の移行がどうであれ、それを押し通していきます。これが、上述した住みにくくなる性格なのです。

しかし、よく考えると、罪を裁く方には、このような考え方を持っていただけないと困るように思います。まア、罪を犯すもの大多数は、どうしようもない人間も多いのでしょうが・・・。

内容紹介です。

任官5年目の検事・佐方貞人は、認知症だった母親を殺害して逮捕された息子・昌平の裁判を担当することになった。昌平は介護疲れから犯行に及んだと自供、事件は解決するかに見えた。しかし佐方は、遺体発見から逮捕まで「空白の2時間」があることに疑問を抱く。独自に聞き取りを進めると、やがて見えてきたのは昌平の意外な素顔だった…。

2.内容ちょっぴり

本作には4作の短編が収納されています。

  • 裁きを望む
  • 恨みを刻む
  • 正義を質す
  • 信義を守る

それぞれ、「このミステリーがすごい!2015年版」、『警察アンソロジー 所轄』、「このミステリーがすごい!2016年版」、「小説野生時代」2019年三月号、四月号に収録された作品を大幅に改定の上、単行本化したものだそうです。

「裁きを望む」は、序盤で、刑事部から送られた案件に不備があり、無罪判決を出せねばならない佐方の姿を描きます。被害者が自分が無罪である証明となる事柄を表明しない点を追求していく佐方の姿勢が見ものです。

「恨みを刻む」は、運動会の日付から証言者の証言の矛盾をついていくプロローグから、最終的に後味の悪い結果につながっていくお話です。

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「正義を質す」は、珍しく帰省した佐方が、同期の検事・木浦の傷心を慰めるべく、宮島を訪れるところから始まります。しかし、この話には裏があり・・・。この事件の根底にある、広島はやくざの抗争で有名だったことを知っていますか?

最終話「信義を守る」は、内容紹介に記されている事件のものですね。刑事部から送られた事件の背景を佐方が丁寧に追っていき、その真相を踏まえて、実態に合った求刑をするものです。それに対する刑事部の検事の「検察に泥を塗った」発言の意味が分かりませんでした。

面白い小説です。是非、ご一読下さい。

参考

佐方貞人シリーズの読む順番!最新刊は『検事の信義』