4篇全てとても面白い作品揃いです!検事の死命 柚月裕子/著

1.概要

佐方貞人(さかたさだと)シリーズで調べると、以下のように出ています。

刑事事件を専門に扱う敏腕弁護士で元検察官の佐方貞人が事件の真相を追う柚月裕子の推理小説のシリーズ。

現時点では、「最後の証人」、「検事の本懐」、「検事の死命」及び「検事の信義」の4作が世に出ています。今後も続きそうですね。

上記の説明では、佐方が「刑事事件を専門に扱う敏腕弁護士」と出ていますが、60爺の読んだ本作と「検事の信義」では、表題の通り、検事時代の佐方を扱っています。

本作では、上司からの露骨な圧力を撥ね退ける事件を扱っています。敵(かたき)役の弁護士から、「こんなことをやっていると検事として生きづらくなる」ようなことを言われていますが、将来は「やめ検」となるわけですな。

内容紹介(from「BOOK」データベース)

電車内で女子高生に痴漢を働いたとして会社員の武本が現行犯逮捕された。武本は容疑を否認し、金を払えば示談にすると少女から脅されたと主張。さらに武本は県内有数の資産家一族の婿だった。担当を任された検事・佐方貞人に対し、上司や国会議員から不起訴にするよう圧力がかかるが、佐方は覚悟を決めて起訴に踏み切る。権力に挑む佐方に勝算はあるのか(「死命を賭ける」)。正義感あふれる男の執念を描いた、傑作ミステリー。

2.内容ちょっぴり

本作は、4つの短編からなっています。しかし、扱っている事件は3つです。表題を見てみましょう。

  • 心を掬う
  • 業をおろす
  • 死命を賭ける 「死命」刑事部編
  • 死命を決する 「死命」公判部編

ご覧のように、最後の2篇は同じ事件を扱っていますが、佐方は刑事部から公判部に異動しています。

さて、それぞれの事件について、感想をちょっぴり述べていきます。

  • 「心を掬う」

手紙の差出人の心を思う気持ちから、便所の浄化槽にまで入り込み証拠を求める執念が凄いと感じました。

特に、事務官の手を借りずに自ら赴く姿勢に脱帽です。

  • 「業をおろす」

父親の陽世(ようせい)の十三回忌のため、貞人が6年ぶりに次原市に帰った時のお話です。「検事の本懐」の最終話(表題は同じ「検事の本懐」)の完結編となるものです。

長年、誤解されていた父の本懐が明らかになる感動的な物語です。

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  • 死命を賭ける「死命」刑事部編

検事や弁護士にとっては、取るに足らない小さな事件です。しかし、被害者にとっては大事件でした。しかも、加害者は地方の大立者で、佐方に露骨な圧力がかかります。

佐方は、これらの圧力を撥ね退け、筒井の応援を受け闘いを開始します。

  • 死命を決する 「死命」公判部編

上記の事件の公判での戦いが見ものです。

地方の大物たちは、なりふり構わず加害者を無罪に持っていこうとします。

それに対して、佐方はどう立ち向かうのか、この作品は、読後すっきりの会心作ではないでしょうか?

4篇とも、とても面白いと思います。

是非、ご一読を。