義昭の視点で歴史を見ていくことに新鮮さを覚えた!毒牙 義昭と光秀 吉川永青/著

1.概要

この作品も、少し前に読んだ「信長死すべし」と同じく戦国末期を題材にしています。

主人公は、足利幕府最後の将軍である足利義昭です。明智光秀がサブの主人公となっています。

足利幕府は、初代尊氏の時は直属の兵を抱えていたかと思うのですが、義昭の時代には直属の兵はほとんどなく、そのため、管領を務める部下たちが兵力を武器に好き勝手な行動をしていたようです。

義昭の兄である室町幕府第13代征夷大将軍である義輝は、幕府権力と将軍権威の復活を目指し戦っていましたが、傀儡としての将軍を擁立しようとする松永久秀らに殺害されました。

義昭も、神輿として担がれますが、兄と同様、将軍親政を実施するための政争に明け暮れることになります。

その過程で知り合った明智光秀を利用して、自分を利用しつくした織田信長を除こうと画策します。

内容紹介です。

武勇馳せし将軍が墜ち、異彩を放つ二人の男が出会う。その毒は、静かに、だが確実に、光秀の心を殺していく。将軍を運命づけられた義昭と、織田信長が欲した光秀、二人の出会いは果たして、必然だったのか―。

2.内容ちょっぴり

織田信長や明智光秀からの物語は数多くありますが、足利義昭の視点からの小説は初めて読みました。誰の視点で歴史を見るかで全く解釈が変わるのは当然だからこそ、この物語は新鮮でした。

この物語では、足利義昭の仕込んだ数々の言葉の毒が明智光秀を謀反に至らせたことになっています。

歴史としての事実の中に、明智光秀が織田信長に何度も打擲されたことが残っていますが、この事実と義昭からの使嗾が明智光秀をして本能寺の変を実行させたとしています。

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上述しましたが、自ら力を持たないため、策謀巡らせるしか信長を追い込んでいくしかない足利義昭、最後は敗れてしまいますが久々津となることを良しとしない、ある意味、自分の考えを持った人だとも思えます。

義昭が信長憎しのため、利用できるものは全てを利用していました。しかし、光秀が戦で敗れ死亡した後に、とんでもないことを起こしたことに後悔するシーンは、人間としてジーンときました。

この小説で、いくつか知らなかったエピソードがありました。

ひとつは、信長に京都を追放されたのち、毛利の力を利用して京都帰還を画策し、織田方に男の人質を要求することで自ら、その策を潰す許に出たことです。

また、義昭が秀吉から京都に呼び戻された後に、征夷大将軍を返上し準后の位を授けられたことは全く知りませんでした。この時、秀吉に与えた言葉が全く届かなかったことに歴史の皮肉を感じます。

足利義昭は策謀家で、とろいことをして足利の家を潰した人間と思っていましたが、人それぞれ必死に生きていたことがわかりました。

是非、ご一読を。