後継者の能力を見つけ誓いを新たにする魔導士の物語。イスランの白琥珀 乾石智子

1.概要

久しぶりの乾石智子作のファンタジー小説です。「オーリエラントの魔道師」シリーズの最新作で、今回の舞台は、コンスル帝国ではなく、コンスル帝国の東に位置するイスリル国です。

主人公は、登場人物の欄では、放浪の魔導士であるオーヴァイデン(オーヴ)です。この人物は、実は王殺しの魔導士とされるヴュルナイの成れの果てと言うことが読んでいると明らかにされます。

オーヴァイデンは、国母であるイスランから、イスラン国の行く末を任されるのですが、人間関係に疲れ果て、イスランから譲り受けた白琥珀を失くしてしまい、失意のうちに放浪の魔導士と呼ばれるようになってしまいます。

このオーヴァイデン、放浪はしていますが、気まぐれで人を助けたりします。始めて登場するとき、養い子であり友人のエムバスと水浴びしているところでした。

ひょんなことからオーヴァイデンの銀行山の管理人スティッカーカルのいるイスラン国の北の国境のぺタルクと言う町が北の蛮族であるスースリン族に襲われるのを聞いて、渋々ながら救援に向かうことから物語は動き出します。

内容紹介です。

母イスランにその才を見出された大魔道師ヴュルナイ。いまわのきわのイスランに国の行く末を託されたものの、後継者となった王族たちの争いで裏切りにあい、その名声も地に墜ちた。それから数十年、国の中枢には欲にまみれた連中がはびこり、存亡の危機に。密かにオーヴァイディンと名を変えて生きていたヴュルナイは、無実の罪で捕らえられた若い女族長を助けるが…。これまで謎のヴェールに包まれていた、魔道帝国イスリル中興の祖を描く“オーリエラントの魔道師”シリーズ最新作

2.内容ちょっぴり

物語のプロローグは、オーヴァイデンの前身であるヴュルナイの幼いころから始まります。この中で、ヴュルナイは常に凍え、飢え、震えていました。ヴュルナイは、ヒダル族に征服された部族ヤーシャも民の末裔だったのです。

ここに、部族長の長である国母イスランがやってくるのです。イスランは、対コンスル用に魔導士軍団を作るのに適した人材を捜し出すために行幸していたのです。

ここで、ヴュルナイはイスランに見いだされ、イスランから魔導士として育てられるのです。このとき、ヤーシャの民30名ほどもイスランに伴われ、奴隷生活から抜け出すことが出来たのです。

そして、イスランの見立ての通り、ヴュルナイは稀代の大魔導士へと成長するのです。コンスル帝国の執拗な侵略を退け、ルディルン王を支え、魔導士軍団を確固たる組織に育て上げます。

しかし、輝かし日々は暗転し、ヴュルナイはイスランに報いることが出来なかったのです。

この後、上述のようにスティッカーカルを救援するため、国境のぺタルクへ出かけて、その魔力を要して救援軍の部族と共に、スースリン族を追い払うことに成功するのです。

それから、無実の罪を背負ったハルファリラを助けるために、王国の宰相であり魔導士のジルナリルとやりあった挙句、王グラスグースの暗愚さに我を忘れ大変なことをしでかしてしまいます。

そして、あることからハルファリラの隠された能力を見出したオーヴァイデンは、イスランへの誓いを新たにし、自らの命を顧みず、エムバスと共に、闇に食われたグラスグースと対決することになるのです。

とても面白い物語です。

是非、ご一読を。