どなたでも楽しめる面白い物語です!秘帖・源氏物語 翁‐OKINA 夢枕獏/著

1.概要

夢枕獏の平安朝を舞台にした物語・・・と聞けば、言わずと知れた「陰陽師」安倍晴明を浮かべますが、本作は表題に源氏物語とあるように主人公は安倍晴明ではなく光源氏が務めます。

しかし、やはり夢枕獏の作品ですので、並立する主人公がいます。それが、何と「陰陽師」で敵(かたき)役として登場する法師陰陽師・蘆屋道満なんです。

蘆屋道満が登場するのですから、源氏物語は源氏物語でも、全く趣の違うお話になっています。いやー、面白いです。

源氏物語なんですが作者があとがきで言っていますが、最後まで読めないので最後はコミック版で読んだそうです。60爺と言えば、源氏物語については、はっきり言って読んでみようとも思いません。

ただ、話に聞いているのは、光源氏が様々な女性と浮名を流す恋愛小説と言うかプレイボーイ(古い^^;)の物語とのイメージですね。それを考えると、読もうとする気力が削がれます。

このお話は、そんなものではなく、光源氏の奥さん葵の上に取り憑いた妖しきものをどうやって祓っていくかの過程が描かれます。

内容紹介です(「BOOK」データベースより)

当代一の貴公子・光の君の妻である葵の上に、妖しいものが取り憑く。六条御息所の生霊らしいが、どうやらそれだけではないらしい。普通の陰陽師ではまったく歯がたたず、光の君はついに、妖しい外法の陰陽師・蘆屋道満に調伏を依頼するが―。『陰陽師』の夢枕獏がえがくいまだかつてない源氏物語。美貌の貴公子・光源氏と、稀代の陰陽師・蘆屋道満が、謎に挑む。

2.内容ちょっぴり

章建てです。

  • 巻ノ一 車争い
  • 巻ノ二 道摩法師
  • 巻ノ三 謎々鬼
  • 巻ノ四 六条御息所
  • 巻ノ五 摩多羅神
  • 巻ノ六 あわわの辻
  • 巻ノ七 大酒神
  • 巻ノ八 蟲
  • 巻ノ九 大泰寺
  • 巻ノ十 常行堂の宴
  • 巻ノ結び

序で、光源氏が子供の頃、人相を見てもらったところ、背後に白髭を生やしたが老爺が憑いていること、王の相を持っていることが語られます。

さらに、場面が一転し、河原院(かわらのいん)となり、ここで起こる不可思議な噂が語られます。毬を蹴る猿のような童子については、後半に再び登場します。

巻ノ一で起きた車争いにより葵の上に不幸が訪れます。これを落すために強力な祈祷を行うのですが、祓っても祓っても葵の上が目覚めません。

そこで、光の君は「あれを祓える外道の坊主、外法の陰陽師」を捜すのです。そして、様々な贋物が絶えた後、ついに播磨の法師陰陽師である道摩法師・蘆屋道満を見つけ出します。

そして、道満との会話の中で、序で語られた話と光の君が結びつきます。

さらに、礼として、人の心に潜む闇を食わせよと言う道満にたいして、光の君は「やすきこと」と答え、葵の上を救うためになかなか見られないコンビが誕生します。

そして、ここからは、夢枕獏の真骨頂、色々な妖しい出来事が発生していきます。陰陽師の蜜虫を連想させる者や、陰陽師の中でも聞いたような道満と怪しのやり取りなども楽しめます。

作者もあとがきで傑作と言い切っていますが、陰陽師ファンならなおのこと、そうでない方でも楽しめる大変面白い物語です。

是非、ご一読を。