テムジンに強敵出現。チンギス紀 三 虹暈 北方謙三/著

1.概要

北方健三著作のチンギス紀-元朝を興したチンギス・ハーンの物語第三巻です。既に、第十巻まで出ていますが、若きテムジンが大きくなっていく過程が語られており、非常に面白いです。

テムジンは、既に二千騎を率いるまでに育ってきました。

まだ、モンゴルを纏めていないので最終回を気にする必要はありませんが、どうかつまらない終わり方ではないように祈っています。

第三巻、「虹暈」(こううん)と副題がついています。暈(かさ)とは、太陽や月に薄い雲がかかった際にその周囲に光の輪が現れる大気光学現象ですが、虹の暈(かさ)という意味で、テムジンの周りに人が集うことを示しているのでしょうか?

ここで、テムジンの前に強敵が現れます。わずか50騎の小勢ですが、トドエン・ギルテとタルグダイのタイチウト軍を打破ろうとしたテムジン軍二千騎が断ち割られてしまうのです。

さらには、ジュムカ軍250騎までが、その軍勢に壊滅に近い打撃を受けてしまうのです。

内容紹介です(「BOOK」データベースより)。

モンゴル族の覇権を懸け、テムジン率いる二千騎が、トドエン・ギルテとタルグダイのタイチウト軍六千騎と対峙し、闘いが始まった。テムジンへの助勢を考えたジャムカは二百五十騎を率い、戦の様子を見守る。数の上では劣勢のテムジン軍が、タイチウト軍の半数を滑走に追い込もうとしたその時、黒い旗を掲げた少数の騎馬隊が新たに出現した。その隊は、テムジン軍を断ち割り、ジャムカのほうに向かってくる―。

2.内容ちょっぴり

第三巻の章と節の主人公を示しておきましょう。

ある年の草トドエン
・ギルテ
ジャムカテムジンジェルメボオルチュ
雲に似てタルクダイテムジン
・ジャムカ
トクトアボウルチュテムジン
青鶻の獲物ラシャーンバブガイトオリルテムジンジャムカ
季節の兆しテムジンジャムカ・
玄翁
トクトアトドエン
・ギルテ
ボオルチュ
・ダイル
竿の先テムジントクトアジャムカタルクダイダイル

第三巻最初の章は「ある年の草」です。一節で、テムジンの強敵となる玄翁が登場します。トドエン・ギルテが玄翁の許を訪れ、その実力を見せつけられ、羊100頭で玄翁の出馬を要請します。

二節で、内容紹介にあるように、わずか50騎の玄翁軍にテムジン軍150騎、ジャムカ軍5,60騎が討ち取られてしまうのです。玄翁は、テムジンの兵150を討つことが羊100頭分の働きだと言って戦場を去るのです。

そして、この章の四節で、テムジンに仕える槍の達人ジェルメと玄翁の意外な関係が明らかになります。

二章は「雲に似て」です。

この章では戦のシーンはありません。一節で、タイチウトのタルグダイが玄翁と会うかどうか悩んでいます。また、この先のタイチウト氏の行き先をどうしようと気をもんでいます。

二節で、テムジンとジャムカが会い、妻帯のことや周辺の事情を語り合うとともに、玄翁についての情報交換をしています。

三節で、メルキドのトップであるトクトアの冬の過ごし方も描かれます。何と一人で森に入り、狩猟をしながら過ごすのです。

四節と五節で探していた鉄の鉱脈が見つかったことが語られます。そして、その輸送方法を考えるボオルチュとバブガイもいます。皆、テムジンを大きくするために働いているのです。

この後も、「青鶻の獲物」、「季節の兆し」、「竿の先」と章が続きます。どうやら、このシリーズは巻毎にいずれも5つの節に分かれているようです。

タルグダイの妻ラシャーンが砂金で玄翁を雇うことに成功し、テムジンは重傷を負うことになります。その後、再起したテムジンは、「季節の兆し」の四章でトドエン・ギルテを討ち果たします。

是非、ご一読を。