読んでいるとザワザワしてきます。Iの悲劇 米澤穂信/著

1.概要

久々の米澤穂信の作品です。

内容紹介の頭に「甦り課」とあり、また、「人を呼び戻す」の部分までを読んで公判を読まなかったものですから、てっきりオカルト方面の作品と思っており、読み始めてから少々面食らっていた自分がいました。

内容紹介をよく見ると、限界集落に移住してくる者たちのトラブルを解決しようと奮闘する地方公務員の物語なんですね。

ちゃんと紹介を読まないとダメだなと反省した60爺でしたが、この小説は、推理小説として良くできたお話ばかりですね。

主人公は、出世を念頭に置いた地方公務員・万願寺邦和と、紹介に出ているように、人当たりがよく、さばけた新人、観山遊香の二人です。この二人が、毎回困ったちゃんである移住者を相手に精一杯努力しているしている姿が描かれます。

また、やる気のない課長である西野秀嗣も主人公の一人と言っていいでしょう。普段は、さっさと定時に帰ることをモットーにしているように見えますが、肝心なポイントを押さえており、キラリと光る才能を煌めかせます。

内容紹介です(「BOOK」データベースより)。

一度死んだ村に、人を呼び戻す。それがの使命だ。人当たりがよく、さばけた新人、観山遊香。出世が望み。公務員らしい公務員、万願寺邦和。とにかく定時に退社。やる気の薄い課長、西野秀嗣。日々舞い込んでくる移住者たちのトラブルを、最終的に解決するのはいつも―。徐々に明らかになる、限界集落の「現実」!そして静かに待ち受ける「衝撃」。これこそ、本当に読みたかった連作短篇集だ。

2.内容ちょっぴり

この小説は、「甦り課」の上記3名が一癖も二癖もある(まともな人がいないです!)移住者達が次々と起こすトラブルに敢然と立ち向かう連作ミステリ短編集です。

万願寺は、移住者たちに寄り添うように事を収められないか奮闘しますが、やはり、お役所なので、不本意ながら諦めざるを得ない案件も多々発生します。

物語は次の編です。

  • 序章  Iの悲劇
  • 第一章 軽い雨
  • 第二章 浅い池
  • 第三章 重い本
  • 第四章 黒い網
  • 第五章 深い沼
  • 第六章 白い仏
  • 終章  Iの喜劇

Iの意味は読み始めるとすぐにわかります。現在の日本でも、田舎への移住が人気のようですが、その光と影を見せられたような気分になります。

自治体だけでなく会社もそうですが、偉い人の鶴の一声で現場が振り回されたりするのもリアルですね。終章で全ての謎が明らかになりますが、担当出会ったら「やってらんねエと!」とちゃぶ台返しをしたくなっちゃいますね。

第五章の最後に出てくる万願寺と弟との対話もやりきれないです。地方は、このまま沈んで行っちゃうんですかね。

それでも、万願寺が毎回奮闘した姿は正しく評価されたようで一安心ですが、こんな状態で万願寺は、仕事を続けていけるのでしょうか。万願寺の今後が気になるラストです。

内容は重くて不穏な気持ちになってしまう作品が多いと思いますが面白い小説です。

是非、ご一読を。